花房観音 -Hanabusa Kannon-

「偽りの森」の風景 ⑨「夜の下鴨神社」

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某日、書いてるもののラストが思い浮かばなくて、雪の中さまよっていました。

夜の下鴨神社。

 

こわいという人もいるけど、私は好き。

2014年1月31日
ブログ

女のお仕事図鑑、UPされました

 メンズナウの連載、花房観音と奈良山鹿子のバスガイドが語る女のお仕事図鑑第5回がUPされております。

 今回は、バスガイド新人時代の話と、添乗員(ツアーコンダクター)です。

 こちらから読めます。

 

 

 旅程管理の資格証(添乗員の資格)持ってるはずなんだけど、どこにやったんだろう……。

 ついでにいうと、国内旅行取扱管理者という国家資格も所持してるけど、おそらくこれから一生使うことないだろうなぁ。

 

 

2014年1月30日
仕事情報

「旅人失格」  平野勝之

 アウトドア雑誌「BE-PAL」2月号より、「監督失格」の平野勝之監督の連載「旅人失格」がはじまりました。

 

 平野勝之監督と、「おそのさん」というひとりの女性との旅と恋の記録です。

 

 平野さんは、今まで自身の私生活を作品にして発表し、高い評価を受けてきました。

 私が平野さんのことを知るきっかけになり、現在までに生涯NO.1の映画である「由美香」は、妻のいる平野さんが、愛人であるAV女優・林由美香さんと北海道に旅に出た記録です。

 

 その後、平野さんと由美香さんは別れて、友人になります。

「結婚して子供を産んであたたかい家庭をつくるのが夢」を言っていた由美香さんは、その後も短い恋愛を重ね、ある日、睡眠薬と酒の事故で急死します。

 由美香さんの第一発見者となったのは、平野さんでした。

 久しぶりに彼女を撮影しようとしていたところ、彼女が待ち合わせ場所に現れず、不審に思った平野さんは、助手と由美香さんのお母さんを伴って彼女の部屋を訪ねて、帰らぬ人となったかつての恋人を見つけるのです。

 その残酷な出来事は、数年後、「監督失格」という映画になり、話題を呼びました。

 

 平野さんは、奥さんと別れて今、独身です。離婚の原因は、平野さんと別の女性との間に子供ができたからです。

「監督失格」が世に出たけれども、平野さんの苦悩の日々は続きます。

 そんなときに平野さんは、「おそのさん」と出会います。

 おそのさんは、染織作家で、彼女は映画監督としての平野勝之ではなくて、雑誌に乗った平野さんの自転車に興味を持った人でした。

 そうしてふたりは恋に落ち、自転車で旅に出ることを決めました。

 けれども、そこには乗り越えなければいけないものや、お互いが背負うものがあり、「恋人たちの楽しい旅行」とは、すんなりとはいかないのです。

 

 いわば「旅人失格」は、「監督失格」の続編です。

 

 私が平野勝之という、自分の人生を変えた人に会ったのは、小説家になる前のことです。

 知人の紹介で思いかけず会うことができて、緊張して動揺してかなり不審者と化していました。

 再会したのは、「監督失格」が完成して、公開される前です。

 京都で平野作品の上映会が開けると聞いて、そこにいったら平野さんがいました。

 それから「監督失格」の試写会にいったり、東京での公開初日にも行きました。

 

 

 平野さんが「おそのさん」と初めて知り合ったときにかけてきた、嬉しそうな電話のことはよく覚えています。

 あの頃は「監督失格」が話題になってたおかげで、平野さんはたぶん、サブカル好きな女とかに、とてもモテていたんじゃないかと思います。(推測ですが)

 けれど、「おそのさん」は、映画監督・平野勝之のことは知らなくて、平野さんの自転車に惹かれ、それをモチーフに作品をつくるなどしていました。自転車から平野ファンになる娘なんて、初めてだったから、平野さんも嬉しかったのでしょう。

 

 それからしばらくして「おそのさん」と平野さんが恋に落ちたと聞いたときは、私は正直、いい感情を抱けませんでした。

 第一に、「旅人失格」の中でも書かれている、ふたりがそれぞれ「背負うもの」のことがまず、ありました。

 第二に、平野さんがおそのさんと恋に落ちる前に、彼が短い間燃え上がっていた恋を私は傍から見ていました。その恋が終わる様も。

 だから、お互いが傷ついたり、追い詰められたり、苦しんだり、そんなことをまた繰り返すのかと思うと、ちょっと第三者としてもしんどかった。

 

 懲りないな、と呆れつつも感心しました。

 過剰で寂しがり屋の平野さんは、惚れっぽい。

 そして惚れたら突き進んで、傷ついたり苦しんだり苦悶したり、かなりボロボロにもなる。

 過剰がゆえに、そのエネルギーを受け止める側も、大変です。

 

 そんな平野さんが、羨ましかった。

 私はもう恋愛とか懲り懲りで二度としたくないと、強固なバリヤーをつくって警戒心バリバリで気を張って生きて自分を守っています。

 日々、恋愛しないように、してはいけないと自分に言い聞かせているというのは大袈裟だけど、無意識でそうしてるところはある。

 心が壊れないように、流されないように、と。

 傷つくのも相手に嫌われるのも嫉妬するのもぐちゃぐちゃになるのも怖いから、もう二度と嫌だと。

 

 私も平野さんほどではないけど、かなり過剰な人間です。

 だから相手を痛い目に合わせずにはいられないときもあったし、自分も深手を負って、その傷はまだ時折、痛みます。

 自分の情の深さも無鉄砲さも愚かさも知ってるから、恋愛が怖い。

 けれど、そんなふうに自分を守りながら生きている自分自身をなんてつまんないヤツなんだと思って、うんざりもしてます。

 しかも私は普通の主婦やOLではなくて、小説家という人間の欲望を描く仕事に就いているのに。

 自分の小心さ、つまらなさ、凡庸さ、弱さに、辟易もします。

 

 だから懲りずに、傷を負っても、誰かを好きになる平野さんが、痛々しくもあり、心配も少しばかりしたし、呆れもしたし、腹が立ったこともありながらも、羨ましかった。

 この人は、いつも私がやりたくてできないことばかりやっていると思っていた。

 私は平野勝之という人が、好きだけど、怖いです。

 自分自身を良くも悪くも「激化」させたような人だから、近づくと、時折、火傷しそうになる。

 

 「おそのさん」の話は、平野さんから聞いていたけれども、その背景もちらと耳にしていたから、ふたりがうまくいくとは思えませんでした。

 北海道へ旅に出ると聞いたときに連想したのは、平野作品「流れ者図鑑」でした。

 自主映画の監督・松梨智子さんと平野さんは旅に出て、ふたりきりの過酷な自転車旅行で、まず過剰な平野さんに松梨さんが恐れはじめ壊れていきます。映画が前提なので、カメラの前で自分をさらけだすことも、由美香さんにはなんなくできたけど、自意識過剰(ぽい)松梨さんは、分裂していった。そして追い詰められ、崩壊し、最悪な結末を迎えます。

 私は、「おそのさん」という人のことをその時はよく知らなかったし、女優でも映画関係者でもない、一般の人だからこそ、たとえそれが映画撮影旅行ではなくても、ふたりきりで永くを過ごす間に、流れ者図鑑のように痛いことになるんじゃないかと思っていました。

 

 と、勝手な心配をよそに、ふたりは旅に出て、無事に帰ってきました。

 旅の間も、それはそれでいろいろあったみたいではあるけれど、ふたりの仲は、壊れることはなかった。

 

 一昨年、大阪で平野作品の上映会をしたときに、おそのさんも来てくれました。

 その時に、初めて会って話をしました。

 

 平野さんとおそのさんは、離れて暮らしてはいるけれど、いい感じにうまくいっていて。

 わかったような気になるなって言われてしまいそうだけど、多分、おそのさんは平野さんという過剰な人をそもそも受け止めようとか思っていなくて、ただ一緒に自転車で走っていっているだけ。

 それが、合うってことなんだろうなと思っています。

 

 そして、恋愛は覚悟だなと思いました。
相手を引き受ける覚悟、そして自分がそこに向かう覚悟。

 

「旅人失格」の連載第一回目を呼んで、私は久々に、私が平野さんに対していつも思ってしまう「自分自身のつまらなさ」を突き付けられてしまいました。

 おそのさんのことを雑誌に書くということを聞いて、果たしてどこまで露わにするんだろうと思ってた。おそのさんは一般人だし、失うものもあるだろうし、平野さんだって、そうだろう。この旅がはじまった時点でのふたりの関係は、私がいい感情を抱かなかったように、他人から決して好意的にとらえられるものではないから。

 

 でも、「旅人失格」は、そのまんまが書いてありました。

 ふたりの苦しみも、当時の関係も、そのまんま。

 

 私が見て見ぬふりして、逃げているものを、いつも平野さんはたたきつける。

 おそのさんという人は、それに負けない人だった。

 

 絶対にかなわない。

 

 そして読んで、泣けたのは、痛みも苦しみも伴いながらも、まっすぐに恋をするふたりが羨ましかったのと、それをとても美しくて羨望したからです。

 

 この先、「旅人失格」を読み続けるのは、期待以上に、ちょっと怖い。

 私自身がゆらぎそうだから。

 でも、私にとっては必要なことなのです、きっと。

 

 

 映画「監督失格」をご覧になった方は、是非、この「続編」を気に留めておいてください。

 

 

「BE-PAL」

2014年1月29日
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