花房観音 -Hanabusa Kannon-

情交未遂

あなたの話を聞きたい、あなたのことを知りたい、誰も知らないあなたを、私の言葉で書き残したいーー言葉でまぐわいたいのです

弁護士・タレント 角田龍平 ~少年は龍になった~ (2012年)

2016年9月19日   インタビュー:花房観音   写真:花房観音   場所:哲学の道にて

――今、こうして弁護士として活躍して、人前にも出てという、普通の人なら経験できないような人生を送っておられるわけですけれど、それは何でだと思いますか?

 

「紳助さんと巨人さんのおかげで人生変わりました。悶々とした高校生が大御所にほめられて、積極的に生きていけるようになった。あのふたりに出会わなければ、司法試験なんて受けようとは思わなかったです。あのまま大学受験してたら、平凡な人生だったでしょうね。17歳の時に、あんなにカッコいい大人の人に会ったら、あそこまではなれなくても、自分なりにかっこつけなあかんなとは思います」

 

――司法試験も9回受けて、途中で心折れたりしませんでしたか。

 

「今、自分でもよくもそれだけ受け続けたなって思います。へこたれなかったのは、紳助さんや巨人さんに、再会したいという気持ちがあったからです。お笑いもケツわって、司法試験もケツわったら、会わせる顔がない。テレビの仕事をし出した大きな動機も、また紳助さんに会って、ちゃんと御礼を言えた時に、自分の物語が完結すると思ったんです。もう、それも今の段階では実現しませんけどね――」

 

 

 

 登竜門という言葉がある。鯉が竜門という急流を泳ぎ切り、竜になったという中国の故事からきた言葉で、成功のための難しい関門のことを言う。

 深夜ラジオに心躍らせる平凡な少年が、悶々とした日々に、「憧れの人に会えば何か変わるんじゃないか」と行動したことがきっかけで人生は大きく変わった。一瞬にして華やかな世界で、「カッコいい大人たち」と出会い――けれど、そこから彼らに再び会うまでに長い月日が流れた。それは平凡な鯉が、流れに立ち向かって何度も負けて負けてそれでも自分を信じ泳ぎ切り、竜になるような――孤独な戦いであっただろう。

 人生は、ほんのちょっと動いただけで、大きく変わることもある。

 動かないと、変わらないのだ。そうして手を伸ばさないと、届かない。

 憧れの世界を見上げて、指をくわえて羨むだけでは何もはじまらない。そこに向かって動き出さなければ、その世界は自分のところには一生来ることはない。

 回り道はしたけれど、辿りつけた。

 カッコいい大人たちに出会い、励まされ、難関をくぐり抜け再び華やかな世界に戻ってきた少年は、今は自らが「カッコいい大人」になろうとしている。

 

 

 角田龍平――完結しなかった彼の物語は、これから始まる――。

 

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*角田弁護士のツイッターアカウントhttps://twitter.com/sumidab

*角田龍平のオールナイトニッポンポッドキャスト⇒

http://itunes.apple.com/jp/podcast//id320474602

 

 

*このインタビューは2012年に「メンズナウ」というサイトに掲載されたものです。

 

 

角田龍平

元漫才師。京都府宇治市出身。立命館大学法学部卒。弁護士としては角田龍平の法律事務所で活動し、タレントとしてはタイタンに所属していたが2016年1月からフリーで活動している。
洛星高等学校3年のときに、関西テレビ『紳助の人間マンダラ』の企画『オール巨人の漫才道場』に応募し、オール巨人に弟子入り。漫才コンビ「おおかみ少年」を結成し、結成4カ月後に出場した今宮子供えびすマンザイ新人コンクールで福笑い大賞を受賞した。高校卒業後、漫才の一芸入試で立命館大学法学部に入学すると同時にオール巨人の付き人をしていたが、オール阪神・巨人がレギュラー出演していたNHK『バラエティー生活笑百科』の収録スタジオで「笑福亭仁鶴にも上沼恵美子にも阪神・巨人にもなれないが、回答者の弁護士にはなれる」と思い立ち、芸人を廃業し、弁護士を目指す[2][3]。その後、司法試験に落ち続けたが、10年間の猛勉強の末、2006年に9回目の受験で旧司法試験に合格。2008年9月に弁護士登録し、弁護士・大阪府知事(当時)の橋下徹が代表を務める橋下綜合法律事務所に入所する。2011年1月、大阪にて司法書士の妻と共に「角田龍平の法律事務所」を開設し独立。弁護士として民事・刑事を問わず数多くの事件を担当している[1][4] 。

2008年に『オールナイトニッポンパーソナリティーオーディション』でグランプリを受賞し、2009年1月から1年間『角田龍平のオールナイトニッポンR』のパーソナリティーを務めた。なお、同番組は『角田龍平のオールナイトニッポンポッドキャスト』[5]として継続している。また、ポッドキャストのサブテキストであるコラム『弁護士角田龍平のメルマ遵法』をメールマガジン『水道橋博士のメルマ旬報』[6]に連載している。

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