花房観音 -Hanabusa Kannon-

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「空ヲ刻ム者」感想

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あらためて市川猿之助&佐々木蔵之介の「空ヲ刻ム者」の感想を。
 若き仏師と、民のために世を変える理想を抱いて役人になった青年の物語です。

「仏像」とは何か?
なぜ人は、仏に救いを求めるのか。
そして、信仰の持つ力と、危険さ――。
そんなテーマが最初から最後まで観客につきつけられる傑作でした

私は信仰心もなく、どちらかというと宗教全般や、信仰に対してかなり懐疑的で(ついでにいうと占いとかスピリチュアルとか霊的ななものに対しても)、非常に現実的で目に見えるものしか信じていない傾向が強いんですが、なぜか仏像や寺は好きで、ペンネームにしたぐらいです。…
仏像に手を合わせるのは、ただ心が安らぐから、それだけです。

猿之助演じる主人公十和は仏師の子であり、才能を持ちながらも、「仏は何も救わないではないか」「権力の道具にされているだけではないか」という疑問を抱く青年です。彼はついには、仏像を壊すという行為にも及びます。

猿之助さんはもともと仏像が好きで、梅原猛に弟子入りしようとしたぐらい哲学にも傾倒されてるそうです。

霊木で刻まれた不動明王の背後に炎が燃えるシーンとか……泣くとこちがうんかもしれんけど、何度も涙がこみ上げてきました。
単純な勧善懲悪の話ではなくて、若者たちが時には悪になり、世を疑い、そうしながらも生きていく姿が感動的でした。

とてもわかりやすく「信仰の危険」を描いていました。
これは宗教全般に関しての話ではなくて、たとえばひとつのマスコミ報道を盲信して、疑いなく誰かを非難糾弾するのも同じだし、もっともらしいことをいう「言論人」を盲信して、そこに自分の考えや疑問などなしりリツイートしまくり、他者を攻撃、排除するのも同じです。
我こそが正義と疑わない人間が、一番危険です。
自分の中に悪などないと、他者を許さない人間は。

そんなものをえぐりだした作品でした。
素晴らしかったです。
http://www.kabuki-bito.jp/news/2014/01/post_996.html

2014年4月18日
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