花房観音 -Hanabusa Kannon-

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ボラード病  吉村萬壱

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純文学とエンタメの違いって何だろうて話は、何人かとしたことがあって、人によって考えが違うから面白いなーと思っているんだが、世界を描くのが純文学で人を描くのがエンタメなのかなとふと思ったり。
もちろん、いちがいにはいえないですが。

 吉村萬壱さんの新刊「ボラード病」ですが、震災以降、自分が感じていた違和感の正体を見せつけられました。
この国に、人々に、世界に、馴染めない、何か違う、もどかしい、むずがゆい、そんなもやもやにたまに叫びだしてぶっ壊してみたくなる衝動にかられたことのある人に、ぜひ、読んでほしい。

私は基本的に社会的な発言はしないようにしていて(だから自分のことばっかつぶやくのです)それは、人それぞれの立場や考えがあるのだから、自分が正しいと思っていても、自分の読者を不愉快にしてしまうだろうからという理由です。
小説家なんだから、社会に対する怒りやもやもやは作品の中で書けばいいと思うし、そのほうが説得力があるはずだし。
とか言いつつ、自分にはその筆力がないのは日々痛感しているので、この作品に圧倒的な敗北感を感じています。
それがすんごい快感なんだけどね。
とにかく、素晴らしい小説です。
傑作。
才能というのは、こういう人にだけ許される言葉やと思った。

 

 

 

 

2014年6月18日
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