「情事」 著・森瑤子
森瑤子さんのデビュー作です。
森さんが亡くなって、もうだいぶ経ちますね。
二十代の頃、森さんの描く「大人の女」の世界は自分とはずいぶん遠いものに感じながらも、カッコよさに憧れたものです。
けれども森さんの描く世界は、そんな「カッコいい」とか「おしゃれ」なんて言葉で済ませられるものではない。
猛烈な飢餓感と、傷だらけで血が噴き出すような文章で、読んでてたまにつらくなる。
特にこのデビュー作「情事」は、文章のひとつひとつがヒリヒリと痛んで泣き叫んでいるような作品です。
気がつけば私は、森さんが「情事」を描いてデビューした年齢をとうに追い越してしまいました。
そのことと考えると、いつも息が苦しくなります。
2013年10月20日
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