「自殺」 著・末井昭
末井昭さんの新刊「自殺」を読みました。
末井さんの本はほとんど呼んでいますし、奥の神蔵美子さんの「たまもの」「たまゆら」という写真集も好きです。
お母さんをダイナマイト心中で亡くされた末井さんが、自殺について書かれた本です。
死にたいと思ったことがない人は、どれぐらいいるんでしょう。
私はあります。
二十代の時は、ずっと「死にたい」と朝から晩まで思ってたし、三十歳までに死なないといけないと思っていました。
理由はいろいろあるんですが、自分自身、そしてそれにくわえ依存していた男性にずっと否定されてたのと、金銭的なことで絶望しか見えなかったからです。
死にたいとは考えていたけど、具体的な自殺未遂らしきことはしたことないので、まあ、その程度だったんです。
でも、今だって、正直、たまに嫌なことを思い出して、死にたいと思うことはるし、ひとりで口にすることもあります。
口にすることで、吐き出して楽になるから。
自殺そのものを、私は否定しません。
生きてたらいいことが必ずあるよ! なんて言えないから。
けれど、若い人に限っては、生きてたほうがいい。死んじゃいけない。
せめて三十歳までは、生きててください。
嫌なことは、捨てらればいいし、逃げればいい。
捨てられないこと、逃げられないことなんて、実はあまりなかったりするから。
学校が嫌なら行かなくていいし、仕事が嫌ならやめたらいいし、借金があるなら逃げればいい。
死ぬぐらいなら。
三十歳までに死ぬと思い続けた私は、いろいろあって、思いがけず死に損なって(タイミングを失ったのです)、三十代の半ばぐらいから、ちょっとばかり「生きよう」と思うようになりましたが、今でもそんなに積極的に「生きるぞ!」とは思っていません。
私は「死に損ない」だから、仕方なく生きてるだけというのは、未だにあります。「生きてやる」とは、前向きには考えていません。
ただ、小説家になってからは、生きなきゃと思うようになってきました。
まだまだ書きたいことがあるから、今死んだら後悔するから。
私の生きる気力なんて、その程度のものです。
あくまで、自分は「死に損ない」で、死ねなかったから生きてるだけで、生きることを選択したわけではない。残りの選択肢が、生きることだっただけ。
まあ、それでも死ななくてよかったと、今は思っていますよ。
だから若い人は、死なないで欲しい。
本当に。
私が「死に損ない」だという話は、中村淳彦さんの「名前のない女たち 最終章 セックスと自殺の間に」の文庫版の解説に描いています。藩金蓮名義で、小説家になる直線の原稿です。
この本は、末井さんの「自殺」でも参考文献として挙げられていました。
自殺については、いろいろ思うことあるし、自分が怪談とか人が死んだ場所とか、そういう「死」が漂うものや場所にこれほどまでに惹かれるのはなんだろうと、考えます。どっかで改めてちゃんと書きたいです。