「あめだま 青蛙モノノケ語り」 田辺青蛙・著
日本ホラー大賞受賞作家・田辺青蛙さんの掌編集です。
読みながら、私はひたすら「帰りたい」と思っていた。
どこへ。
懐かしい、この世界へ。
時に残酷で、けれども美しい、この世界へ。
一度も来たことがないはずなのに、何故か郷愁に溢れていて、胸が軋む。
帰りたい、帰りたいと、心が泣いている。
孤独という人間のふるさとを舞台に舞い遊ぶ無邪気なモノノケたちは、私たちがこの世に生まれる前、もっとも幸福だった頃の姿なのだろう。
だから、帰りたくてたまらないと、私の心が泣いていた。
日付が変わったばかりのクリスマスイブの日に読んだ本ですが、聖夜にぴったりの物語でした。
表紙も素敵です。
読みながら、杉浦日向子さんの「百物語」を思い出していました。「百物語」も好きで何度も繰り返し読んだ本です。
2013年12月25日
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