「空ヲ刻ム者」感想
あらためて市川猿之助&佐々木蔵之介の「空ヲ刻ム者」の感想を。
若き仏師と、民のために世を変える理想を抱いて役人になった青年
「仏像」とは何か?
なぜ人は、仏に救いを求めるのか。
そして、信仰の持つ力と、危険さ――。
そんなテーマが最初から最後まで観客につきつけられる傑作でした
私は信仰心もなく、どちらかというと宗教全般や、信仰に対してか
仏像に手を合わせるのは、ただ心が安らぐから、それだけです。
猿之助演じる主人公十和は仏師の子であり、才能を持ちながらも、
猿之助さんはもともと仏像が好きで、梅原猛に弟子入りしようとし
霊木で刻まれた不動明王の背後に炎が燃えるシーンとか……泣くと
単純な勧善懲悪の話ではなくて、若者たちが時には悪になり、世を
とてもわかりやすく「信仰の危険」を描いていました。
これは宗教全般に関しての話ではなくて、たとえばひとつのマスコ
我こそが正義と疑わない人間が、一番危険です。
自分の中に悪などないと、他者を許さない人間は。
そんなものをえぐりだした作品でした。
素晴らしかったです。
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