5/25発売の「クロワッサン」6/10発売号で、映画監督で小説「疼くひと」がベストセラーになった松井久子さんと対談しています。
閉経後の性愛等について。
女だって、50を過ぎても、人を好きになったり、セックスしたいと思うことはもちろんあります。そんな話を。
松井久子さんの「疼くひと」は、70代の女性の性愛が描かれています。松井さんと性についての話をして、自分がいかに年齢にとらわれているのか痛感しました。もう50歳、ではなく、まだ50歳なんですよね。自由なつもりで、実は自分は不自由だったと気が付きました。
周りには閉経して「もうセックスも恋愛も卒業してスッキリした」という女性が少なくないけれど、そうじゃない、性愛からは逃れられない女性もいるし、少なくとも「もう年だから」と諦めてしまわなくても、いいように。
自由に人を好きになれるように。
さて、松井さんとは不思議なご縁がありました。もう20年以上前ですが、映画館で働いていたとき、今はなき「朝日シネマ」にふらっと入りました。なんの予備知識もなく、ただの時間つぶしでした。当時は「業務証」というのがあり、映画館で働いていたら、京都市内の映画館無料パスが使えたのです。
そのときに朝日シネマで観たのが、倍賞美津子主演の「ユキエ」という映画でした。アルツハイマーになった女性と家族の物語です。もう泣けて泣けて、ずっと心に残っていた映画でした。「ゆっくりとしたさよなら」という言葉が印象に残っています。
「ユキエ」は、松井久子さんの初監督作品でした。それまで映画やドラマでみた「おばあちゃん」て、本当に「おばあちゃん!」て感じだったけど、倍賞美津子さんは、そうじゃなかった。若くもない、生身の女の「おばあちゃん」。
まさか25年以上経って、「ユキエ」の監督さんと会ってお話できる機会があるなんて、びっくりでした。当時、全国6館の劇場でしか上映されていなかったそうです。
そして松井さんに言われました「あのときの私と倍賞さんの年齢と、今のあなたの年齢は同じなのよ」と。
その松井さんの言葉に、目の前が開けました。まだ自分は、なんだってできるんだ、と。
近年、出版の世界でも「若い読者向けて、若い作家を」みたいな話を耳にして、「自分の居場所はないんだ」と思うことも多かったから……。そんなふうに、私にとって、とても意味ある、未来が見えてくる対談でした。
そしてもうひとつ、驚いたのは、松井さんと会ったときに、私の知人の70代のある尊敬する女性と雰囲気似てるなと思ったので、その女性に松井さんのことを告げたら、なんと松井さんのドキュメンタリー映画が大阪で上映されたとき、観に行って本にサインもらっていたと……。びっくり。