花房観音 -Hanabusa Kannon-

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12/5 文庫「好色入道」発売

12/5に、実業之日本社文庫より、文庫版「好色入道」発売します。

少し加筆修正もしました。

解説は、ノンフィクション作家の中村淳彦さんです。

私の「書籍」デビューは、2010年に宝島文庫より刊行された、中村さんの「名前のない女たち 最終章」の解説でした。もともと単行本発売時にブログに私が書いた感想を、中村さんがぜひにと解説に使ってくれたのです。

その頃はまだ小説家でもなかったので、「藩金蓮」というハンドルネームでした。よくも、このベストセラーのシリーズに、無名のバスガイドの文章を使ってくれたのだと感心します。

それもあり、以前から一度こちらも解説はお願いしようと考えていて、「底辺」である秀建の物語は中村さんに相応しいと思いました。

あと、今回文庫化にあたり、少しだけ謝辞も書きました。

「好色入道」はもともと、秀建を主人公に連載をと言われていて、何を書こうか考えていたところ、たまたま吉田山の麓の屋台にて、友人の角田龍平弁護士、妻の彩子さん、新聞記者のモリシゲさんと飲んでいたところ、この人たちをモデルに書こうと思いついたものです。

連載中、こういう選挙の小説を書いている……という話を、サンテレビの「カツヤマサヒコSHOW」のロケの合間にすると、勝谷誠彦さんが、「俺も出たい」というので、いいよと答えてしまい、「三尋狂人」という、彼の風俗ライター時代のペンネームにちなんで、「三尋来人」という登場人物が、選挙戦の応援に登場する……という場面を書きました。

そしてその翌年、いきなり勝谷さんが兵庫県知事選挙に立候補したのです。私は政治には関わらないつもりでいたのに、ずるずると引きずられ巻き込まれてしまいました。知事選では善戦したのですが、現職に敗れ、その場にも私はいました。

落選後、転がるように勝谷さんは酒に溺れていきます。

「好色入道」の文庫化の話が出たのは、去年の夏ぐらいでした。「解説、勝谷さんでもいいですね」と担当に言われましたが、私は内心、彼はもうちゃんと文章を書くことは難しいんじゃないだろうかと考えていました。

そうして、去年の11月28日、日付の変わった頃、勝谷誠彦は57歳で、故郷・尼崎にて亡くなりました。

彼のおかげで、私は様々な人と知り合い、新しい世界を見ることができました。

もう二度と、彼に私の小説を読んでもらうことはできません。

「好色入道」文庫化のために改稿、ゲラの作業中、「三尋来人」の登場場面を読む度に、大事な友人を亡くしたことを考えずにはいられませんでした。

ただ、こうして小説の中に少しだけでも彼の姿を残せたのは、よかったのかもしれない。そう思って、文庫化の際には、言葉を残しておきたいとお願いしました。

もうすぐ、彼がいなくなって一年。

「好色入道」が、再び世に出ます。

2019年11月14日
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